日本各地に点在するお城――それは、ただの歴史的建造物ではなく、土地の風土や文化、戦国時代のロマンが詰まった“旅の目的地”です。
近年は、観光地としてだけでなく、趣味として「城巡り」を楽しむ人が増えており、その魅力にどっぷりハマる人も多数。いわゆる“城沼”です。
「歴史は詳しくないけれど、何だか気になる」「城の風景が好き」「旅先で立ち寄ったお城が忘れられない」――そんな気持ちをきっかけに、お城巡りを趣味にするのは大いにアリ。
実際に歩いて、登って、見上げて、肌で感じることで、お城の見え方はガラリと変わります。
今回は、これから名城巡りを始めたい方に向けて、「どう楽しむか」「何を見ればいいか」など、初心者向けの“城巡りの楽しみ方”を3つの視点からご紹介します。
次の休日には、あなたも“城沼”の入り口に立っているかもしれません。
1. 【どこから巡る?】最初に訪れたい名城3選
まず、「どのお城から巡ればいいの?」という初心者の疑問に応えるべく、入門に最適な名城を3つご紹介します。これらはアクセスが良く、資料や展示も充実しており、歴史や構造に詳しくなくても楽しめる“初めての城旅”にぴったりです。
● 姫路城(兵庫県)
言わずと知れた世界遺産。白漆喰の美しい外観から“白鷺城”と呼ばれる姫路城は、その壮大なスケールと保存状態の良さで、まさに“日本の城の完成形”。迷路のような構造や急な階段を実際に登ってみると、敵の侵入を阻む知恵に圧倒されます。
● 松本城(長野県)
現存天守の中でも特に古く、美しい黒い外観が印象的。北アルプスを背景にした姿は、写真映えも抜群です。内部は当時の木造建築がそのまま残っており、戦国時代の空気をリアルに感じられます。
● 熊本城(熊本県)
震災で一部損壊したものの、復旧が進む過程も含めて“生きている城”を体感できます。石垣や櫓の美しさに加え、城内の展示も近代的でわかりやすく、初心者にも優しい設計です。
これらの名城は、観光としても大満足できるうえ、「お城って面白い!」という気づきが自然と得られる名所です。
2. 【何を見る?】“構造”に注目すると一気に楽しくなる
お城を見るとき、最初は「天守(てんしゅ)」や「石垣」など分かりやすい部分に目が行きがちですが、少しだけ視点を変えると、もっと深く楽しめるようになります。
たとえば…
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石垣の積み方:「野面積み(のづらづみ)」→ゴツゴツ素朴、「打込接ぎ」→精密な美しさ
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堀の形状:内堀・外堀・水堀など、守りの工夫が満載
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櫓(やぐら)・門の配置:どう敵の侵入を防ぐか?「枡形虎口(ますがたこぐち)」の仕組みなど
特に注目したいのは、敵の動きを妨げる“トラップ構造”。たとえば姫路城では、入口から天守までの道がグネグネと曲がりくねっており、常に狙われる構造になっています。
実際に歩くことで、「なるほど、こうやって守ってたのか!」と体感できるのが、城巡りの醍醐味です。
ガイドツアーや音声ガイドを利用すれば、専門知識がなくても理解が深まりやすく、より一層楽しめます。
3. 【どう続ける?】スタンプ帳やアプリでモチベーションUP!
趣味として“続ける”ためには、ちょっとした楽しみや収集要素を取り入れるのが効果的です。
おすすめは、「日本100名城スタンプラリー」や「続日本100名城」などのスタンプ帳を使った巡り方。
各地の対象城には専用スタンプが設置されており、訪れた記録が形に残せるのが魅力。達成感があり、次はどこへ行こうか?とワクワクも広がります。
また、スマホアプリ「ニッポン城めぐり」や「城めぐ」などを使えば、現在地から近いお城を検索できたり、訪問記録をつけたり、写真投稿で他の城好きと交流できたりと、楽しみ方がどんどん広がります。
そのうち、「ただ見るだけ」から、「城跡を見るのも好き」「明治以降の城の変遷に興味が出てきた」など、自分なりの“推し城”やテーマができてくるのも、この趣味の面白さです。
一歩踏み出せば、旅の目的地が変わる
お城は、歴史の中にそびえる巨大な建築物であると同時に、その土地の文化や自然と一体になった“体験の場”でもあります。
見上げるだけで終わっていた存在が、歩き、知り、集めることで、「もっと知りたい」「次も行きたい」へと変わっていく。それが“城沼”のはじまりです。
お金もそんなにかからず、体も使い、旅の目的地にも困らない。
そんな魅力満載の「お城巡り」、次の休日にひとつ、足を運んでみてはいかがでしょうか?
きっとあなたも、気づけば“次はどの城に行こう”と検索しているはずです。